先進国の責任問う、政策に「気候正義」反映を
気候変動の不公正な負担の是正を訴え、COP26で広まる
英グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、「クライメート・ジャスティス(気候正義)」という言葉が頻繁に登場した。地球温暖化の責任がほとんどない経済弱者や若い世代が、より甚大な被害を受ける不公正な状況を是正しようという呼び掛けだ。途上国や環境団体が、温暖化を引き起こしてきた先進諸国に「気候正義」を反映した政策決定を促している。
気候正義は一般的に「気候変動の不公正な負担を強いられる弱者に視点を置いた問題解決を目指す」ことを意味する。例えば途上国は、先進国と比較して温室効果ガスの排出が少ないにもかかわらず、干ばつや洪水など気候変動の被害が特に大きい。また、子供や若者は、これまでの政策決定に関わっていないが、将来の気候危機の矢面に立たされる。こうした不公平感が「気候正義」を求める動きが広まった背景にある。
欧米では、気候変動を語る際に欠かせない概念として定着しており、COP会合でもさまざまな場で用いられた。開催地スコットランドのスタージョン自治政府首相は「最も責任が少ないのに気候変動の最も深刻な影響を受ける人々の声を聴かなければならない」と気候正義に言及。NGOは不均衡を正す政策を促し、デモでは若者が「われわれは気候正義を求める」と叫んで行進した。
環境団体「地球の友インターナショナル」気候正義・エネルギー問題担当のサラ・ショー氏は「富裕国は脱化石燃料のために必要な資金を提供しないまま、途上国に対策の責任を押し付けようとしている」と批判、気候正義のため先進国がより大きな責任を担うべきだと訴えた。(グラスゴー時事)