サッカーW杯、隔年開催への変更案に賛否
地域間の格差解消へ、欧州など価値低下や選手負担を懸念
4年に1度開催されているサッカーのワールドカップ(W杯)を2年ごとに変更する案が、論争になっている。計画を推進する国際連盟(FIFA)に対し、アジアや北中米カリブ海の各大陸連盟は支持を表明。一方、欧州や南米からは反発の声が上がっている。
隔年開催論は40~50年ほど前からあったという。議論が本格化するきっかけになったのが今年5月の総会。実現性を検証するようサウジアラビア協会から提案があり、賛成166、反対22で可決。FIFAの競技普及部門責任者を務めるアーセン・ベンゲル氏が主導している。
背景にあるのが、広がる格差問題だ。欧州チャンピオンズリーグ(CL)などを主催する欧州連盟(UEFA)は潤い、有力選手は莫大(ばくだい)な放映権料が集まる欧州のクラブに集中。W杯の回数を増やせばFIFAの財務基盤が強化され、より多くの分配金を加盟協会に行き渡らせることができる。それが格差の是正につながるというわけだ。新型コロナウイルス禍による財政悪化も危機感を強くした。
5月の総会で、FIFAのインファンティノ会長は改革の必要性を訴えた。「サッカーは本当にグローバルな競技なのか。答えはノーだ。富める国やクラブはどんどん減っていき、競技力に加えて経済的な格差も大きくなっている」
しかし、隔年開催によってW杯の価値が薄れるのではないか、過密日程により選手の負担が増えるのではないかという懸念は欧州以外からも聞こえてくる。FIFAは30日に加盟協会と対話する機会を設ける。丁寧な説明はファンにとっても重要だ。(ロンドン時事)