イオン、原材料価格高騰もPB食品値上げせず


消費者の節約志向重視、一括購入などで原料高吸収に努力

イオン、原材料価格高騰もPB食品値上げせず

イオンのプライベートブランド「トップバリュ」の食品価格据え置きをアピールする食品売り場=13日、千葉市美浜区

 イオンはこのほど、プライベートブランド(PB)「トップバリュ」の食品価格を年内は引き上げないと発表した。大豆や油など原材料価格は「経験したことのないレベル」(同社)に高騰しているが、新型コロナウイルス流行に伴う先行きへの不安から消費者の節約志向が高まっていることに対応する。コスト削減などの企業努力で価格を維持する方針だが、原料高やコロナの収束は見えず、メーカーや小売り各社は厳しい消耗戦を強いられている。

 価格を据え置くのは、イオンが自主企画したトップバリュブランドのコーヒーや小麦粉、マヨネーズなど約3000品目。酒や生鮮食品は対象外だ。物流の効率化や一括購入などで原料高を吸収するという。西峠泰男執行役は「値上げで消費が減退しないよう、できる限りの努力をしたい」と説明した。

 産地の天候不順や、中国を中心とした世界的な需要拡大がもたらした原料高は、食品メーカーを直撃。製油大手各社が大豆や菜種の上昇を理由に、11月に今年4回目の卸売価格引き上げを予定するなど、メーカーブランドの値上げの表明が相次いでいる。

 しかし、消費者の節約志向から店頭価格を上げづらい状況で、卸や小売り各社がメーカーの要求を一方的に受け入れるとは限らない。大手スーパー幹部は、特売の頻度が減ると指摘しつつも、「国内は店舗数が過剰なだけに、わずかでも高いと他店に客が流れる」と警戒をにじませる。

 日本チェーンストア協会の井上淳専務理事は「コロナによる雇用や先行きへの不安から、消費者は生活必需品の値上げを受け入れる心理状態にはない」と話している。