バイデン米大統領、サイバー安保で官民対話


米国の重要インフラが標的に、企業トップに対策を要請

バイデン米大統領、サイバー安保で官民対話

サイバー攻撃への対応をめぐるバイデン米政権との協議に出席したアップルのクック最高経営責任者(CEO=左端)ら企業首脳=25日、ホワイトハウス(EPA時事)

 バイデン米大統領は25日、国家安全保障を脅かすサイバー攻撃への対応をめぐり、米マイクロソフト(MS)、アップルといったIT大手や金融機関などの経営陣と協議した。米国の重要インフラが身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」の標的になったことを踏まえ、企業側に対策の強化を要請した。

 バイデン政権発足後、サイバー問題に関する官民対話は初めて。バイデン氏は「重要なインフラの多くは民間企業が運営しており、連邦政府だけでは対処できない」と強調。5月に発表した大統領令に基づき、官民連携の重要性を訴えた。

 ホワイトハウスによると、協議にはITや金融のほか、インフラ関連、保険会社、大学などの経営者約30人が出席。MSは今後5年間のサイバー対策費を現在の4倍相当の200億ドル(約2兆2000億円)まで増やすと表明した。

 主要国では今年に入り、ランサムウエア攻撃が相次いで発覚。MSの企業向け電子メールソフトや米最大級のパイプラインなどが標的になり、甚大な影響が出た。バイデン氏は中国やロシアが絡む事案に懸念を示し、6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)で対策強化を求めた。(ワシントン時事)