マレーシア新首相にイスマイルサブリ氏が就任


過半数を確保しきょう宣誓式、コロナ対応で混乱が続く

マレーシア新首相にイスマイルサブリ氏が就任

19日、クアラルンプールで、ポーズを取るマレーシアのイスマイルサブリ前副首相(EPA時事)

 マレーシアのアブドラ国王は20日、イスマイルサブリ前副首相(61)を新首相に任命したと発表した。21日に宣誓式が行われ、第9代首相に就任する。

 連邦議会下院(定数222、欠員2)で議員114人の支持を集め、任命の条件とされる「過半数を確保した」と判断された。

 首相を務めてきたムヒディン氏は16日、辞意を表明。「新型コロナウイルス感染対策の失敗」を糾弾されて与党連合内で分裂が進み、政権運営能力を失った。マレーシアでは政治の混乱が続いており、イスマイルサブリ氏は過去3年余りで3人目の首相となる。

 イスマイルサブリ氏は連立与党の最大勢力、統一マレー国民組織(UMNO)所属のベテラン議員。UMNOは長年政権を担い、多くの首相を輩出した名門政党だが、近年は所属議員らが関与した巨額の収賄事件など不祥事が相次いだ。

 UMNOは約3年ぶりに首相ポストを取り戻す。しかし、不祥事を抱えた政党から新首相が選挙を経ずに選出されたことで、国民にくすぶる「民意が反映されていない」との不満が再燃する恐れがある。ムヒディン政権でコロナ対策の責任者だったイスマイルサブリ氏が新首相に収まることを疑問視する声もあり、急務であるコロナ抑制や政局安定につながるかはなお不透明だ。(シンガポール時事)