怒れる大統領、SNSでコロナ誤情報の拡散続く
デマを放置、米国のワクチン接種遅れの原因とFBを批判
インターネット交流サイト(SNS)上での新型コロナウイルスをめぐる誤情報(デマ)の拡散がやまない。バイデン米政権は、ワクチンを有害と主張する投稿を放置したことで接種のスピードが遅れたとフェイスブック(FB)を批判。FBは対策を講じていると反論した。米国では今、再び感染が拡大中で、デマへの踏み込んだ措置を求める声は強い。
「人々を殺している」。バイデン大統領は7月、FBの運営を非難した。SNSには「不妊になる」などとワクチンをめぐるデマがまん延している。バイデン氏は、独立記念日の7月4日までにワクチンを1回以上接種した割合を18歳以上の70%にする目標を打ち出してきた。これに届かなかった原因をSNSに見いだした。
FBは、利用者の85%がワクチン接種を「終えた」か「望んでいる」と述べ批判を一蹴。併せて1800万件のデマを削除したと公表した。
これを受けバイデン氏も、非難はSNS上で誤情報を広げる12人の中心的な人物に向けたものだと態度を修正している。ただ、SNS企業には投稿の選別をさらに徹底するよう求めた。
FBは、世界の総人口の4割弱の29億人に毎月利用されている。言論空間としての公共性が高まる中、「表現の自由」と「秩序」のバランスを模索してきた。デマ投稿が多い利用者を警告表示する一方、投稿管理の適否を有識者が評価する仕組みで利用再開の機会を設けるといった具合だ。
バイデン政権の要求には、共和党から「(表現の自由を保障した)合衆国憲法修正第1条への攻撃だ」と批判もある。しかし、感染力の強いデルタ株の感染が広がるにつれ、感染対策を阻害するデマへの視線は厳しくなっている。SNS企業も、より強力なデマ対策を模索している。(シリコンバレー時事)