NASAの木星衛星探査、民間ロケットで打ち上げ
スペースXのファルコンヘビーで、官民協力に弾みさらに
米航空宇宙局(NASA)は23日、木星の衛星エウロパを目指す無人探査機「エウロパ・クリッパー」の打ち上げに、宇宙企業スペースXのロケット「ファルコンヘビー」を採用すると発表した。スペースXは人類の月面再訪計画にも参加しており、地球外天体の探査活動での官民協力に、さらに弾みがつきそうだ。
エウロパ・クリッパーは2024年10月に、フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられる予定。米メディアによると、当初はNASAが独自開発中のロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」が使われる見通しだったが、SLS開発は計画より遅れ、費用も見積もりを大きく上回っている。
エウロパの地底には、液体の水をたたえた巨大な「海」が存在するとみられ、地球を除くと太陽系で生命の存在する可能性が最も高い天体の一つと言われる。NASAによると、エウロパ・クリッパーは衛星表面の高解析画像を撮影し、地底の海の存在や深さ、塩分濃度に関するデータを収集。「生命にとって適切な環境かどうかの調査」が最大のミッションだ。
ファルコンヘビーは、18年に初の打ち上げ実験に成功。現在使われているロケットでは最大級の積載能力を持つとされ、スペースXのマスク最高経営責任者(CEO)は「冥王星やその先にも行ける」と主張している。(ワシントン時事)