英イングランドのコロナ規制、ほぼ全面解除へ


変異株広がるもワクチンに期待、首相「警戒継続」は訴え

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サッカー欧州選手権の決勝が終わり、ウェンブリー競技場を出る群衆=11日、ロンドン(AFP時事)

 イングランドでの新型コロナウイルス規制を19日にほぼ全面解除する英政府の計画について、ジョンソン首相は12日、予定通り実施すると確認した。英国では変異株の広がりで感染が再拡大している。しかし、政府はワクチンの効果で死者や重症者が抑えられると判断、解除を決めた。

 これにより、イングランドではマスク着用の義務はなくなり「屋内交流」の人数制限も撤廃される。首相は記者会見で、気候が良く学校も夏休みに入る英国の7月こそが「解除に適切な時だ」と強調した。

 ただ「パンデミック(世界的大流行)は終わっていない」とも指摘した。混雑する室内ではマスクを着けるよう推奨、個人の判断で警戒を続けるよう呼び掛けている。

 インド由来のデルタ株が広がる英国では、6月以降、感染は急増中。12日の全国の新規感染は3万4000人を上回った。政府は、このペースが続けば1日当たりの感染者が夏の間に10万人を超える可能性があると認めている。

 もっとも最近の死者数は1日当たり10人を下回る日もあり、1000人を超えることも多かった今年初めからは激減した。政府は、ワクチンによる「免疫の壁」構築に期待を寄せる。「医療に過剰な負担が掛かる事態は避けられる」(ジャビド保健相)と踏んでいる。

 しかし、感染が急拡大する中での規制解除には懸念も根強い。英国ではサッカー欧州選手権でのイングランド代表の活躍に伴い、サポーターらが社会的距離を取らずに大騒ぎし、これが感染を押し上げる要因になったと疑う見方も出ている。ロンドンで11日に行われたイングランド対イタリアの決勝では、群衆が会場周辺やパブなどに集まり、マスクをせずに叫んだり歓声を上げたりする光景が見られた。(ロンドン時事)