スエズ運河の座礁船、 離礁から100日ぶりに出航
和解合意に署名
エジプトのスエズ運河で3月に起きた正栄汽船(愛媛県今治市)所有の大型コンテナ船「エバーギブン」座礁事故で、運河の中間にある湖に留め置かれていた同船は7日、離礁から100日ぶりに出航した。スエズ運河庁と船主側は同日、賠償金額などを盛り込んだ和解合意文書に署名。係留は長期に及んだが、ようやく解決した。
運河庁は当初、離礁作業や風評被害による損失として9億1600万ドル(約1000億円)の賠償を請求し、後に5億5000万ドルに減額。船主側が金額の妥当性に疑問を呈して反発したため、交渉は長期化した。
座礁原因についても、運河庁が「速度超過など船長に過失があった」と主張する一方、船主側は「悪天候でも航行を認めた運河庁に責任がある」と対立し、訴訟に発展していた。合意の詳細や賠償額は公表されていないが、訴訟は取り下げられる見通しだ。
オランダのロッテルダムへ向かっていたエバーギブンは3月23日に座礁。海上交通の要衝である運河がふさがれ、タンカーやコンテナ船が多数通航できなくなり国際輸送網の混乱を招いた。同29日に離礁に成功したが、その後はエジプト当局に約1万8000個のコンテナを積載したまま差し押さえられ、和解合意の発表に伴って今月6日に解除された。(イスマイリア(エジプト)時事)