米国で増えるLGBT、子供を誘惑した大人の罪
《 記 者 の 視 点 》
米調査会社ギャラップが18歳以上の米成人1万5000人以上に行った世論調査で、5・6%が同性愛者など性的少数者(LGBT)と自認していることが分かった。
2012年の3・5%、17年の4・5%から上昇しており、特に「Z世代」と呼ばれる23歳以下では15・9%に達した。若者の6人に1人がLGBTだというのは衝撃的な数字である。若者の間で圧倒的に多いのがバイセクシャル(両性愛者)だった。
上昇の要因は何か。実際にLGBT人口が増えたこと、そして多様性を尊重する社会風潮の中で「カミングアウト」する人が増えたこと、おそらくその両方が重なっているのだろう。
社会の価値観の変化が若者の性的指向・性自認に影響を及ぼしていることは間違いない。2月25日付ワシントン・ポスト紙は、ギャラップ社の調査結果を報じる記事で、ジャスパー・スウォーツさんという若者の声を紹介している。この若者によると、友人はほぼ全員が「クィア(風変わりを意味するLGBTの総称)」だというのだ。
スウォーツさんが住むメリーランド州では、8歳の時に同性婚が合法化された。12歳の時に女子に惹(ひ)かれるようになり、14歳の時に自身は「ノンバイナリー(男性・女性のどちらでもないと認識している人)」だとカミングアウトした。
スウォーツさんはインスタグラムで同性愛に関する情報を得たり、トランスジェンダーのユーチューバーをフォローしながら育った。ソーシャルメディア上の情報がスウォーツさんの価値観形成に大きな影響を与えたようだ。
スウォーツさんが生物学的には男性であるのか女性であるのか、記事では判然としない。その理由は、スウォーツさんを「he(彼)」「she(彼女)」ではなく、「they」と表現しているためだ。
theyは彼ら・彼女らを意味する「三人称複数」の代名詞であるはずだが、自身をノンバイナリーと認識している人には「三人称単数」の代名詞としてtheyを使う習慣が広がっているらしい。
こうした風潮を反映し、民主党が過半数を握る米下院では、「父」「母」「息子」「娘」「he」「she」など性別を特定する言葉は不適切だとして、「親」「子供」「they」などに置き換える規則変更を行っている。
日本でも同性カップルを婚姻相当の関係として公認する「パートナーシップ制度」を導入する自治体が急速に増えている。だが、次世代の価値観にどのような影響を及ぼすかについては、全くといっていいほど議論されていない。
制度を変えることは、社会の概念を変えることであり、既成概念のない子供たちは、最初から同性愛を個性として受け入れて育つことになる。これは言ってみれば、子供たちを同性愛に誘惑しているに等しい。
米国の若者の6分の1がLGBTだと認めた衝撃的な調査結果が物語るのは、子供たちをLGBTの世界に誘い込んだ大人たちの「罪」だと思うのである。
編集委員 早川 俊行