コロナ後の働き方改革 一極集中排し、分散、住み分けを
《 記 者 の 視 点 》
新型コロナウイルスの感染で今年の上半期、世の中はすったもんだとなった。私自身もコロナウイルスの拡散予防ということで、学校現場における「教員の働き方改革」の講演が中止になった。弊紙の熱心な読者である甲状腺科の専門病院である東京・原宿にある伊藤病院の伊藤公一院長が、昨年9月4日付「教員の働き方改革~“チーム学校”で授業改革を」読んで、「医療現場の働き方改革と通じるところがある」と筆者の所に講演の依頼が来た。だが、2月上旬の検査技師を対象とした講演は開催されたが、2月末の医師を対象にした講演が中止になってしまった。
学校、特に小学校では、修学旅行などの学級費や給食費の集金、健康管理、クラブ活動の顧問、安全管理など、教員免許が無くてもできる事務的な仕事まで、学級担任に一極集中してしまい「児童・生徒の様子をよく見て、生活面を含めた指導を行い、授業で教える」という、教員としての本分が疎(おろそ)かになってしまう状況がある。最近ではさまざまな分散化が進められているものの、仕事の一極集中で学級担任のストレスは想像を超えるものがある。
特に、今年度は新学習指導要領で「主体的・対話的で深い学び」が打ち出され、道徳の教科化、小学校高学年から英語が必修になる、など教員の仕事が増えたことに加え、コロナ対策も取り入れ、休校だったり、オンライン授業の推進など、超過密な学校スケジュールになってしまいそうだ。この時だからこそ、学校の校長を頂点に、やるべき仕事と、責任の所在を明確にしながら、適材適所で“仕事を分散”することが必要だろう。
4月22日付弊紙【特報】「抗体検査キットWondfo 対コロナ『補完武器』に」など一連の記事では、諸事情によってPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が増えない状況を憂い、抗体検査キット「Wondfo」を推奨する伊東エミナ院長(東京・銀座でエミーナジョイクリニック開設)を取材した。
伊東院長は「来院者が感染すること、うつしてしまうことに不安を感じている」と語り、「政府の主導するPCR検査への対応が遅すぎる」「補償面を含めて迅速な措置を」と訴えていた。人員、技術の問題で対応できないなら、PCR検査以外の抗原検査、抗体検査を含めて検査数を増やす努力をすべだと訴えていた。“夜の街”で第2波と思われるような、陽性者も増え、罹患(りかん)歴を追跡するために、抗体検査を重視する声も出てきている。
コロナウイルス罹患を防ぎながら、罹患していない人、罹患したが、回復した人を中心に経済を回し、検査で陽性となった人は治療し、回復してから経済活動に参加するというような“住み分け”“分散化”をしていかなければならないだろう。コロナ後の働き方改革はそうした方向になっていくのではないだろうか。
教育部長 太田 和宏