天皇陛下、81歳の誕生日迎えられる
「より良い日本つくる努力を」
天皇陛下は23日、81歳の誕生日を迎えられた。これに先立ち皇居・宮殿で記者会見。来年の戦後70年を前に、「先の戦争では300万を超す多くの人が亡くなりました。その人々の死を無にすることがないよう、常により良い日本をつくる努力を続けることが残された私どもに課せられた義務であり、後に来る時代への責任であると思います」と語られた。その上で「日本が世界の中で安定した平和で健全な国として、近隣諸国はもとよりできるだけ多くの世界の国々と共に支え合って歩んでいけるよう切に願っています」と述べられた。
今年夏には「昭和天皇実録」が24年余りを経て完成した。陛下は編集作業に当たった関係者に謝意を示し、「大変に困難な時代を歩まれた昭和天皇を改めておしのびするよすがになろうと思っています」と述べられた。
昭和天皇から学んだことを問われ、「人のことを常に考えることと、人に言われたからするのではなく、自分で責任を持って事に当たるということ」と語られた。また、昭和天皇との思い出として、皇后陛下(当時皇太子妃殿下)がヒツジグサという花について教わり、長女黒田清子さんが生まれた際、お印に選んだところ、昭和天皇が「大変よい」と喜ばれていたことを挙げられた。
この1年で印象に残った出来事として、日本人のノーベル物理学賞受賞や広島市の土砂災害、御嶽山の噴火などを挙げる一方、「常々心に掛かっていること」として雪害による事故死に言及。自らも高齢になり転びやすくなっていると話し、「高齢者の屋根の雪下ろしはいつも心配しています」と気遣われた。
天皇陛下の誕生日会見はここ数年、体調不良などの場合を除き、宮内記者会が事前に提出した3問とその場での関連質問に陛下が答える形式だったが、今年は年齢などを考慮して2問になった。