「再婚禁止期間」は違憲?
前の夫との離婚が成立する前に、他の男性との子供を妊娠・出産した静岡県の女性が、民法に定められた嫡出推定と再婚禁止期間のために子供が無戸籍になり、再婚もできないとして、300万円の賠償を求める訴えを、今月15日、東京地裁に起こした。
女性は離婚から6カ月たたなければ、再婚できないというのが民法の再婚禁止期間。嫡出推定制度は、妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定するという規定だ。
訴えた女性は、これらの規定は法の下の平等や婚姻の自由に反しており違憲だと主張。また、嫡出推定により生まれた子供は法律上前夫の子となるため、出生届を提出できないという。
確かに、子供が無戸籍の状態にあることには同情の余地がある。早期の救済措置が必要であろう。ただ、再婚禁止期間や嫡出推定を違憲だという主張には、違和感を覚える。
再婚禁止期間の本来の趣旨の一つは妊娠前後に離婚や再婚をすれば、父子関係が不明確になり混乱する恐れがあるから。もう一つは、前夫の子を妊娠している可能性がある状態で再婚するのは好ましくないという倫理的な理由である。
また、嫡出推定は法律上の父子関係を早めに確定し、子供の養育環境を安定させるというのが趣旨。血縁関係がない場合もあるが、子供の福祉への配慮から設けられている。
つまり、何より子供の心身の成長・福祉を保護するという意味があり、平等や婚姻の自由に反するという次元の問題ではない。
実際、この女性に対して、前夫と離婚に至った事情があるとはいえ、倫理的にどうか。子供がかわいそうという批判的な声もある。
もし現在の再婚禁止期間に問題があるとすれば、女性だけに規定があることだろう。男性にも同様の規定を設けることが、法の下の平等という点では意味があるのではないか。(誠)