赤ちゃんの力
政府は先月、「少子化社会対策大綱」を閣議決定した。待機児解消を柱にきめ細やかな子育て支援策が盛り込まれたほか、結婚、妊娠、子供・子育てに温かい社会の実現に社会全体で取り組む方向を打ち出した。
子供・子育てに温かい社会とは、子供と子育ての価値を実感し、大切にすることなのだろうと思う。今年1月に開催された家庭教育支援研究発表会(文部科学省主催)の中から、感銘を受けた唐津市のNPO法人子育て支援情報センター「中学子育てサロン」の取り組みを紹介したい。
これは、乳幼児親子と中学生が直接触れ合うことで、中学生が子育てについて考え人生のイメージを膨らませてもらおうというもの。「赤ちゃん力」を通した幸せづくりであり、少子化対策である。
中学生の感想には「赤ちゃんはふわふわしていてとっても気持ちよかった」「親から大事にされてきたことが分かった」「子育てや未来に明るいイメージを感じるようになった」。お母さんは「街で中学生に声をかけてもらえるようになって嬉しい」「中学生に対する見方が変わった。中学校を応援したい気持ちになった」などがあった。
サロンの様子を伝える短い映像を見ながら、幸せな気持ちに包まれた。センター長の山口ひろみさんは「サロンがあると中学校がとっても温かいと誰もが感じています。社会は支え支えられ、教え教えられ、お互い様の関係。笑顔が増える環境を一歩ずつ作っていきたい」と語った。
今年度から、東京都は騒音規制から子供の声を除外する改正条例を施行した。嬉しいことだ。ただ、これで問題解決とは言えない。
双方がつながる、地域住民と乳幼児との触れ合う場を持つことを提案したい。愛(いと)しい孫や子供が小さかった頃の笑顔と重なって、園の応援団になってくれるに違いない。(光)