マナーポスター


 東京メトロは、マナーポスターを月替わりで地下鉄車内に貼りだしている。平成26年度は、擬人化した動物を描いてマナー喚起に努めており、例年以上に目を引く。

 「メイクするばしょ ここじゃないよ」と、車内での化粧を慎むよう呼び掛けたのは1月。「でんわのこえがきになるよ」と、2月はケータイやスマートフォンでの通話禁止をやんわりと促している。

 地下鉄にポスターが掲示されるようになってから40年。「『どうぞ』のひと言、うれしい気づかい。」(25年7月)のように、優先席を必要とする人に席を譲るマナー喚起は昔も今もある。

 最近多いのはケータイやスマホ使用に関するもの。今月のポスターのほかにも「優先席付近では、電源はOFF。思いやりをON。」(25年5月)、「なぜあえてこの場所でケータイ」(24年12月)、「車内のケータイ、まわりに配慮。」(23年11月)と、年に一度は提示されている。

 それだけ車内でケータイ類を使う乗客が増えているのだ。7人掛け椅子の乗客全員が小さな画面をそろってのぞき込んでいる光景は、かつては異様に映ったが、今ではめずらしくなくなった。優先席付近で電源をOFFにする人はほとんどいないし、優先席でゲームに熱中する大人もいる。

 電車内でスマホを使うのは手持ちぶたさからかと思っていたが、小紙10日付1面の記事を見て驚いた。ある調査によると、女子高校生がケータイやスマホを使う平均時間は7時間で、15時間以上も1割いた。

 これだと、授業と睡眠時間を除けば、ずっと使っていることになり、もはや依存症と言える。そう考えると、マナー喚起のポスターがあろうと、それを無視して親指を動かし続ける乗客が多いのもうなずける。今ほど、知恵を絞ってマナーポスターをデザインする人たちが無力を感じる時代はないのではないか。(森)