子供のスマホ制限
高校入学を契機に、次女がスマートフォンを持つようになった。それまでのケイタイで十分のはずだが、本人が仲間との付き合いで必要だという。東京に単身赴任の父親(筆者)が次女のスマホ使用に注意を払うことは難しい。本人の節度ある使用を期待したいところだが、果たしてどうか。母親は情報端末にちんぷんかんぷんである。
内閣府の調査によると、高校生のスマホ所有率は83%。次女がスマホに変えた理由は、仲間でメッセージをやりとりする「LINE」だったが、保護者にとってはこれが心配のタネだ。
LINEに入らなければ仲間外れになりそうだし、入れば入ったで四六時中、小さな画面とのにらめっこが続くことになるのではないか。メッセージが気になって、お風呂に入る時もスマホを手放せないでいる高校生がいる、との話を耳にする。
子供が情報端末を適切に使用できるかどうかは、家庭の教育力を問うテーマだ。しかし、LINEは家庭のコントロールが及ばないほど厄介な存在になっている。本来、子供の自制心が強まってから情報端末を与えるべきだが、中学生でもほぼ半分がスマホ所有というご時世である。
愛知県刈谷市内の小中学校で4月から、児童生徒のスマホの夜間使用(午後9時以降)を禁止する取り組みが始まった。この試みに多くの自治体から注目が集まっているのは、子供のスマホ使用で悩みを抱える保護者が多いからである。
「市全体のルール」と言えば、保護者は指導しやすくなる。夜LINEのメッセージのやりとりを1人だけ止めるには抵抗があるが、仲間みんなとなると、受け入れやすいのは間違いない。この試みが今後他の自治体にも広がる可能性があるが、そこからさらに一歩踏み込んで、子供に情報端末を安易に与える社会の風潮を変える運動に発展することを期待したい。(森)