知性的な言葉の魅力
東大本郷キャンパスの小柴ホールで、このほど、リサ・ランドール・ハーバード大学教授の「宇宙の扉をノックする」と題した講演会があった。
主催はカブリ数物連携宇宙研究機構。「宇宙は数学という言葉で書かれている」(ガリレオ)という標語でそのアイデンティティーを打ち出しており、この標語に魅せられて参加した。
同教授は、素粒子物理学で脚光を浴びる女性教授で、人間を尺度の中心に据えつつ、極大な宇宙から極小のヒッグス粒子に至るまで、同じ重力がかかっている不思議を説きながら、素粒子の世界に潜む新たな真理発見の可能性を語った。
内容の理解は簡単ではなかったが、村山斉機構長がうまく通訳し、物理学の先端的な発見について一般向けに語られていた。同教授は、日本でも『ワープする宇宙』などの訳書が出版されている。
同ホールは言うまでもなく、ニュートリノの研究でノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊東大教授を記念したもの。一階フロアには、小柴氏の研究成果や「ニュートリノ実験その後」といった関連分野の研究成果が、ガラス製の端麗なパネルで陳列されていた。
その中には小柴教授の「僕はビリで卒業したのに東大は教官にしてくれた。逆に成績が良いからこれからも大丈夫というのは通用しません」といった言葉も刻まれている。
ホール中央には、理学部の各学科長が、それぞれ研究生活から得られた一つの言葉を列記。若い探求者へのはなむけの言葉として紹介されていた。