子供だけの旅の思い出


 夏休みに入って、子供だけで旅行する姿を見かけることがある。親の実家にでも遊びにいくのだろうか。中には、独り旅もある。

 今は成長したわが家の子供人3人も小学生の時、付き添いなしで旅をさせたが、それぞれハプニングがあって、今も忘れられない。まずは長女と長男の二人旅のケース。二人とも小学生の時だった。筆者は当時、東京に単身赴任し、妻と子供たちは中国地方の妻の実家に住んでいた。

 妻が長女と長男を広島駅で新幹線に乗せ、筆者が東京駅で迎える段取りだった。ところが、日ごろからおっちょこちょいの妻がうっかり予定より一本早い新幹線に乗せてしまった。しかも、出発までまだ時間があると思った妻は、車外に出そびれ、次の駅まで同行する羽目に。

 ただ、これが幸いし、一同は隣駅で降りて、子供たちは予定していた本来の新幹線に乗り換えることができた。東京駅で無事に父親と出会った子供たちは開口一番、「お母さんがまた失敗しちゃったよ」。

 見送ったあと広島駅に戻った妻は、駅員に事情を話したところ、本来支払うべき料金を免除していただいたとか。母は強し。

 二女の場合は小学1年生の時、飛行機の子供の旅サポートを利用した。広島空港から乗って羽田空港で筆者と出会い、東京見物を楽しんだ。しかし、あとから「お父さんのおかげで、大変だったのよ」との電話が入った。

 水族館で長男への土産として買って持たせたイルカの絵の入ったカッターナイフが空港の保安検査で引っかかり、一時“没収”となったのだ。もちろん、広島空港で返してもらったが、自分が何か悪いことでもしたような気分を味わったという。そのおかげで、高校生になった今でも父親のミスを覚えていて笑う。

 かわいい子には旅をさせよ。でも、手荷物には要注意。(森)