羽生結弦が3連覇、疲労の中で王者の滑り
全日本フィギュアで、激動の一年を終える
ただでは転ばない。そんな羽生の演技だった。
フリー冒頭の4回転サルコー。GPファイナルでは鮮やかに決めたが、前のめりに転倒した。サルコーはこの日の公式練習も、直前の6分間練習でも決まっていなかった。
実は体調に苦しんでいた。「疲れがたまっていた。きょうは辛かった」。ファイナルから2週間。というより、中国杯の激突負傷から復活へ懸命の時間を過ごした。体が悲鳴を上げたとしても、無理はなかった。
だが、それを言い訳にはしない。4回転トーループを決めて立て直すと、後半にはトリプルアクセル(3回転半)からの難しい連続ジャンプを着氷し、最後にはSPで乱れた課題の3回転ルッツを跳んだ。「疲れている中、スピードを落としてもやり切ろうと思った」という状況。それでも、向上心を持ち続けた。
ソチ五輪で頂点に立った2014年を、全日本3連覇で締めくくった。「とりあえずホッとしている。最後まで貴重な経験をさせていただいた」。来年3月には激突事故のあった因縁の地、上海での世界選手権も控える。さらなる飛躍を期して、激動の一年を終えた。