ESA、彗星へ降下中の写真を公開


欧州探査機子機が着陸初成功、機体固定は不十分の恐れ

ESA、彗星へ降下中の写真を公開

欧州宇宙機関(ESA)の探査機ロゼッタから分離された子機フィラエが日本時間12日深夜、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(すいせい)へ降下中、上空約3キロから撮影した写真(ESAなど提供)

 欧州宇宙機関(ESA)は13日、探査機ロゼッタから分離した子機フィラエがチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(すいせい)に着陸する前に撮影した写真を公開した。ESAは探査機の彗星着陸に史上初めて成功したと発表したが、フィラエの機体を地表に固定するくいを打てなかった可能性も明らかにしており、調査中とみられる。

 ロゼッタは12日午後5時半すぎに彗星の上空約20キロでフィラエを分離し、フィラエは約7時間かけて着陸した。降下中に上空約3キロから撮影した写真では、険しい地形の所々に滑らかな部分がある様子が分かる。

 フィラエは秒速1メートル程度で着陸し、3方向に張り出した脚の先端からねじを地表に入れるほか、機体上面からのガス噴射で反発を抑えながらくいを打つ計画だった。しかし、ロゼッタからの分離前にガス噴射装置が故障した可能性が判明し、着陸直後はくい打ちを確認できなかったため、機体固定が不十分な恐れがある。

 フィラエは主バッテリーが持続する約2日半の間に、カメラなどで周囲を観測するほか、小さな装置で深さ23センチまで掘って内部の物質を調べる予定。氷に有機物が含まれているとみられ、地球の海や生命の起源を探る研究に役立つと期待される。

 ロゼッタは2004年に打ち上げられ、10年かけて火星と木星の間にあるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星近くに到着した。同彗星は来年8月には地球と火星の間に入り、太陽に最接近してガスやちりを大量に放出するとみられ、ロゼッタはその様子も観測する。