文化審、落語家の柳家小三治さんを人間国宝に


「私の勲章は寄席のお客さまが喜んでくれること」

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人間国宝に認定されることとなり、記者会見で喜びを語る落語家の柳家小三治さん=東京都千代田区

 落語家の柳家小三治さん(74)は亡き師匠、五代目柳家小さんに続いて人間国宝に認定された。「闇の中から突然、黒いつぶてが飛んできた感じ」と、知らせを受けた時の驚きを独特のとぼけたような口ぶりで表現した。

 東京生まれで高校卒業後、小さんに入門。1969年に17人抜きで真打ちに昇進し、十代目柳家小三治を襲名した。2期4年務めた落語協会会長を今年6月に退任し、現在は同協会顧問。

 ひょうひょうとした語り口で、味わい深い古典落語を聞かせる。「落語の中にはありとあらゆる心の持ち方が秘められ、受け取る人の感受性によってばかばかしいと思ったり、つらいと思ったりする」と語る。

 半世紀を超えるキャリアの中で挫折もあったが、「やめなかったのは、落語が面白いから。人生を引き換えにしてもいいと思うほど、好きだから」と落語への思いはまっすぐだ。

 「本当に欲しいのは肩書じゃない。私の勲章は寄席や落語会に来てくれるお客さま一人ひとりが喜んでくれること」と、さらなる高みを目指す。