教育的配慮ほしい首相夫人


 東京・渋谷の公園通りと言えば、週末や祝日には買い物客らであふれ、親子連れも多く通る繁華街だ。そこで、大型連休中の4月27日、一風変わった格好をした人が多く参加するパレードが行われた。

 動物の着ぐるみはまだいいが、上半身裸の男性、ビキニ姿の女性、そして女装した男性などもいた。「自由な愛のカタチ」「エイズはまだ終わっていない」などのメッセージを掲げたり、虹色の旗を振ったりする若者もいた。

 ゲイやレズビアンら、いわゆる「性的少数者」への支援を呼びかけるパレードだった。虹色の旗は彼らの運動を象徴するものだ。

 そんな集団をしばらくやり過ごしていると、トラックの荷台から、沿道の人々に手を振る女性が目に入った。首相夫人の安倍昭恵さんに似ている。同じトラックの上では、真っ赤なドレスを身にまとった大柄な人物(おそらく男性)が愛想を振りまいていた。

 最初は「まさか!」と疑ったが、よく見ると、やっぱり首相夫人だった。この手のパレードが日本ではじまって、今年で20年になるが、おそらく現役の首相夫人が参加したのは昭恵さんが初めてだろう。

 表現の自由が認められているわが国では、同性愛者の支援パレードでも規則に従って行われる限り、とやかく言う必要はないが、首相夫人が参加するとなると、熟慮を要する。子供を連れての買い物中、ビキニ姿で公道を踊りながら歩く光景に偶然遭遇し、顔をしかめる親もいるだろう。そこに首相夫人が参加しているとなると、子供にどう説明したらいいのか、困惑するはず。

 パレードには賛成する人もいるが、快く思わない人もいる。そこに参加することの意味を首相夫人は考えたのだろうか。少数者の人権を無視してはいけないが、首相夫人が優先させるべきことは子供の教育に対する配慮だったのではないか。(清)