米国の極超音速兵器、実験回数は中国の1割以下


米軍制服組ナンバー2ハイテン氏、兵器開発遅れに苦言

米国の極超音速兵器、実験回数は中国の1割以下

米軍のハイテン統合参謀本部副議長=2019年7月、ワシントン(AFP時事)

 米軍制服組ナンバー2のハイテン統合参謀本部副議長は28日、米国の極超音速兵器開発で実験回数が中国の1割以下にとどまっていると指摘し、開発プロセスの遅れに苦言を呈した。ワシントン市内で時事通信など一部メディアと会見した。中国は8月に宇宙から地上を攻撃する極超音速兵器の実験を行ったとみられ、米軍は予想を上回る中国の技術力に強い危機感を抱いている。

 ハイテン氏は、過去5年程度で米軍が極超音速兵器の実験を9回実施したのに対し、中国の実験回数は「数百回に上る」と強調。「1桁と3桁の差は好ましくない」と述べ、米国が開発で後れを取る背景には、失敗を恐れ、リスクを回避する姿勢があると分析した。

 米国は他国に先駆けて極超音速兵器の開発に着手したが、初実験で失敗後、2年を費やしてその原因を探り、再び失敗した時点で開発を中止した。ハイテン氏は「われわれは失敗を悪と決め付けているが、失敗は学習プロセスの一部にすぎず、開発を急ぐのであれば早く失敗し、早く次につなげる必要がある」と指摘。新技術開発に対する取り組み方を根本から見直さなければ、中国に追い抜かれると警告した。

 国防総省は今月21日、アラスカ州で行った極超音速兵器の実験に失敗した。同省は失敗の原因究明を行っているが、次回の実験がいつ行われるかの見通しは立っていない。(ワシントン時事)