マグロ漁師になりたい! 若者の関心が高まる


漁業団体がユーチューブで紹介、マイナスイメージを払拭へ

マグロ漁師になりたい! 若者の関心が高まる

マグロ漁師の魅力を語る若手機関長(左)と先輩の漁労長(ユーチューブより)

 漁業の花形ともいえるマグロ漁に、若者の関心が高まっている。漁業団体が今春から、動画投稿サイト「ユーチューブ」で仕事内容や漁業者らを紹介。若者から「イメージが変わった」と反響を呼び、漁業と縁のなかった新米漁師が今後、相次いで誕生する。

 志願者が増えているのは、世界の海で長期間操業するマグロなどの遠洋漁業。半年以上操業を続けることも多いため、きつい、汚い、危険といった「3K職場」のイメージが強く、「借金の返済手段に挙げられたり、奴隷扱いされたりするイメージも持たれている」と日本かつお・まぐろ漁業協同組合(東京)の香川謙二組合長は話す。

 こうしたマイナスイメージを払拭(ふっしょく)し、マグロ漁の担い手を増やそうと、同組合は3月末から7月まで週1回のペースでユーチューブの動画を更新。マグロをモチーフにしたアニメキャラクターを作製し、どうすれば船員になれるか、漁業関係者が詳しく説明している。

 動画では、漁船に個室が完備されていたり、無線通信Wi-Fi(ワイファイ)が使用できたりする船があることをPR。仕事につまずきながら、先輩のアドバイスでエンジンなどを管理する機関長になった若手船員のインタビューなども配信している。

 多くの若者から「マグロ漁のイメージが変わった。ぜひ挑戦してみたい」と、動画に登場した関係団体に連絡が相次ぎ、既に漁師内定者が3人、前向きに調整を進めている若者も数人いるという。

 北海道でキノコ栽培の仕事をしていた20代の男性は、動画を見て「小さなころからの夢をかなえたい」と、マグロ漁師への転身を決意。新型コロナウイルスの感染対策を行った上で、9月に静岡県の焼津港から初航海に出る予定だ。

 同組合によると、遠洋マグロ漁船の日本人船員は約1100人。この20年で半減した。船員の確保が難しいことで船を手放す漁業経営者も少なくないといい、「若手を確保してマグロ漁業を盛り上げていきたい」(香川組合長)と話している。