コロナ禍での経済対策 まず所得減少世帯へ現金給付を
《 記 者 の 視 点 》
東京都は25日、新型コロナウイルスの感染者が41人確認されたことを受け、小池百合子都知事が「感染爆発の重大局面」として都民に週末の不要不急の外出自粛を要請。26日も47人の感染が確認され、神奈川や千葉、埼玉、山梨の1都4県の知事が各地域の住民に外出自粛を呼び掛ける共同メッセージを発信した。
いよいよか、という事態に市井の人々は敏感である。26日午前に家内が近くのスーパーに、いつものように食料品など生活必需品を買いに行くと、店内は既にレジ前に10メートル以上の行列。目当ての牛乳は買えず、納豆やラーメンの乾麺、バナナは棚になく、食パンやお米、パスタ、レトルト食品なども少なくなっていた。買えなかった牛乳は、別のスーパーまで足を延ばして何とか手に入れた。
納豆は効果の有無は別にして免疫力のアップに、乾麺やお米などはしばらく外出しなくても済むように、ということだろう。生活防衛である。
生活防衛ができるわが家などはまだいい。厳しいのは、コロナ禍で学校休校やイベント自粛、訪日外国人旅行者(インバウンド)の激減などで家計や経営が厳しくなった家庭や中小事業者、経営悪化で解雇になりそうなアルバイトなど非正規労働者である。
政府は今、4月上旬にまとめる経済対策の中身を検討している。経済対策にはコロナ禍への対応はもちろんだが、先の消費税増税でいまだ回復しない消費の喚起という側面もある。さらに24日に決まった東京五輪・パラリンピック延期により、一段の落ち込みが予想される観光・小売業などへの対応も欠かせない。
経済対策で大事なのは、規模とスピード感である。海外では米国が個人への現金給付や航空会社などの企業支援などに220兆~244兆円、ドイツが打撃を受けた企業や個人事業主への支援に90兆円超の対策が報道されている。
日本では五輪延期が決まる前で事業規模30兆円超と言われたが、延期決定後はさらに大規模な対策が必要との声が出ている。比較して見劣り感がないでもないが、少な過ぎるということはないだろう。
スピード感から言えば、公共料金の支払いもままならない困窮家庭へは支払猶予はもちろん、米国のような現金給付、経営が悪化した企業には雇用調整助成金の拡充や対象要件の緩和を急ぎ進めたい。
先の増税と今回のコロナ禍で国内景気は「厳しい状況」(3月月例報告)となり、景気後退入りが確実視される状況である。悪化の程度を最小限に食い止めるためにも消費喚起策は不可欠である。
マイナンバーで所得の捕捉が容易になったためか、政府は「本当に困っている人に厚めに現金が行き渡るようにすべきだ」として一律給付は見送る方針のようだが、時間がかかるようなら一律給付で実施すべきである。
対策は20年度補正予算案で編成するが、感染収束の見通しが立たない現状では、1次補正で十分とは限らない。五輪延期の影響もあり、状況に合わせ2次補正など柔軟に対応したい。財源に赤字国債はやむを得ない。
経済部長 床井 明男