天皇陛下、82歳に
「戦争知ること極めて大切」
戦後70年の節目御回顧
天皇陛下は23日、82歳の誕生日を迎えられた。これに先立ち、皇居・宮殿で記者会見し、戦後70年の節目の今年を「さまざまな面で先の戦争のことを考えて過ごした1年だったように思います」と振り返られ、「先の戦争のことを十分に知り、考えを深めていくことが日本の将来にとって極めて大切なことと思います」と強調された。
4月に戦没者慰霊のためパラオを御訪問。太平洋戦争で民間人も含め多くの犠牲者が出たことを、「平和であったならば、社会のさまざまな分野で有意義な人生を送ったであろう人々が命を失ったわけであり、非常に心が痛みます」と語られた。
旧日本軍に徴用された民間船の船員が多数犠牲となったことにも言及。「制空権がなく、輸送船を守るべき軍艦などもない状況下でも、輸送業務に携わらなければならなかった船員の気持ちを本当に痛ましく思います」と声を震わせながら話された。
82歳を迎えることに関して、「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました」と明かされ、「一つ一つの行事に注意深く臨むことによって、少しでもそのようなことのないようにしていくつもりです」とされた。
今年起きた自然災害にも触れ、鹿児島県・口永良部島の新岳噴火や、鬼怒川などが氾濫した関東・東北水害を挙げて、10月に茨城県常総市を訪れた際の印象を「泥水に漬かった田畑が広がり、苦労して作物を育ててきた人々の気持ちはいかばかりかと察せられました」と述べられた。
喜ばしい出来事としては、日本人2人のノーベル賞受賞や、国産ジェット旅客機MRJの初飛行を挙げられた。
誕生日会見の質問数は、高齢の陛下の御負担を考慮する宮内庁からの要望を受ける形で、昨年、従来の3問から2問に減り、今年は1問となった。