天皇陛下、お言葉に「深い反省」
平和の重み 誓い新た
70回目の終戦記念日を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式が天皇、皇后両陛下をお迎えして、東京都千代田区の日本武道館で開かれた。安倍晋三首相や政府関係者、戦没者遺族ら計約7000人が参列し、戦争の犠牲となった約310万人(軍人・軍属約230万人、民間人約80万人)の冥福を祈るとともに、平和への誓いを新たにした。
東京で全国戦没者追悼式
正午から参加者全員で1分間の黙祷を捧げた後、天皇陛下が「ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心からなる追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」とお言葉を述べられた。天皇陛下が、追悼式のお言葉の中で「深い反省」に言及されたのは、初めて。
安倍首相は式辞で「皆様の祖国を自由で民主的な国に造り上げ、平和と繁栄を享受している。それは、皆様の尊い犠牲の上にのみ、あり得たものです」と追悼した。第2次安倍内閣発足以降、安倍首相が式辞を述べるのは3回目。今回も歴代首相が踏襲したアジア諸国に対する加害責任には言及しなかった。14日に閣議決定した談話で触れた「反省とおわび」も盛り込まれず、国内に向けたメッセージの色合いが濃いものとなった。
一方、「戦争の惨禍を決して繰り返さない、そして今を生きる世代、明日を生きる世代のために、国の未来を切り拓いていく、そのことをお誓いいたします」と語り、過去2回の式辞で触れなかった「不戦の誓い」を表明した。
また遺族を代表して父親がニューギニア島で戦病死した大阪府松原市の野間征子さん(73)が「戦没者が残された尊い教訓、平和のありがたさ、命の大切さを若い世代にしっかり伝える」と追悼の辞を読み上げた。最高齢参列者は、夫を亡くした松岡せいさん(100)で、最年少は曽祖父が亡くなった宮城天音さん(3)だった。
厚生労働省によると、参列の意思を示した父母は5年連続のゼロで、妻は過去最少の14人。戦後生まれの参列予定者は昨年より378人多い1109人で、遺族全体に占める割合が初めて2割を超えた。若い世代に戦争の記憶を継承するため、今年から「青少年代表」による献花を行い、8~17歳の6人が黄菊を手向けた。