ノーベル受賞者、初のシンポ
「生命科学の未来」語る-東京
国内外のノーベル賞受賞者らを招いたシンポジウム「ノーベル・プライズ・ダイアログ」が1日、東京都内で開かれた。ノーベル財団などが主催し、スウェーデン国外では初の開催。受賞者らは「生命科学が拓(ひら)く未来」をテーマに、講演やパネルディスカッションを行った。
2012年に医学生理学賞を受賞した京都大の山中伸弥教授(52)は遺伝子情報の解析が進む現状に触れ、「情報を今は企業に渡すべきでないが、その流れは止められない」と予測。プライバシーの保護や遺伝子情報への理解が必要条件だとして、「遺伝子配列データに基づく偏見を持ってはいけない」と訴えた。
02年に化学賞を受賞した島津製作所の田中耕一シニア・フェロー(55)は、科学研究について「英語だけでは発想に限りがある」と述べ、固有の言語で考えることの重要性を指摘。「非常に複雑なシステムを考える上で、一つ(英語)だけでは十分でない」と述べた。
物理学賞を昨年受賞した名古屋大の天野浩教授(54)は発光ダイオード(LED)が「皮膚疾患の治療に役立てられるかもしれない」などと語り、医学と工学の連携に意欲を示した。
夜には受賞者や若手研究者を交えたレセプションが開かれ、天皇、皇后両陛下が出席された。両陛下はグラスを手に出席者と約30分間歓談された。