留学生との交流


 自宅近くの大学が9月に入学した留学生を一般家庭にホームスティさせるプログラムで、受け入れ家庭を募集していた。高校2年の娘がその募集を知り、「ぜひ泊めてあげたい」と言い出した。

 一泊二日で負担が少ない上、大学で英語を学び、将来語学を生かした仕事に就くことを目指す娘のためにもなる、と快諾した。土曜の朝、大学に迎えに行くと、カナダ人の女子学生(20)が待っていた。フランス系で、第1言語はフランス語だが、英語も流暢(りゅうちょう)に話す。

 観光地などを案内し、昼は本人の希望で寿司、夜はすき焼きでもてなした。高校時代にアニメに興味を持ち日本語を勉強したといい、日本語を少し話すが、わが家でのコミュニケーションは主に英語。このほか、彼女はドイツ語も学んでおり、4カ国語を話す。これには娘はたいそう刺激を受けたようだ。

 女子学生はわが家でのホームスティに、「夢みたいな2日間だった」とご満悦だったが、それ以上に喜んだのは娘。「英語が上手ね」と言われて、自信を付けたのだ。今、英語の勉強にこれまで以上熱を入れている。

 小学校からの英語教育の充実が叫ばれている。グローバル人材の育成は大切だが、肝心なのは、子供たちがなぜ外国語を勉強したいと思うか。その動機が明確ならば、「英語を勉強しなさい」と、周囲が鼓舞するまでもなく、子供たちは自ら積極的に学ぶはず。その動機付けには、外国人と直に交流するのが最も効果的だろう。インターネット時代である。外国語を学ぶツールはいくらでもある。

 日本を訪れる外国人観光客が増え、観光地だけでなく、一般商業地でも外国人の姿を見かけるようになった。地元の店主たちは英語の習得に一生懸命に取り組んでいる。大人でさえもこうなのだから、外国人との交流が子供たちに与えるメリットは計り知れないものがあるはず。(森)