フリースクール法制化
いじめや発達障害など何らかの理由で学校に行けない不登校児童生徒は約12万人に上る。カウンセラーを配置したり、クラスの少人数化を進めてきたが、改善の兆しは見えてこない。
先日、不登校の受け皿となっている公的な教育支援センター、民間のフリースクールなど学校以外の教育を義務教育修了と認める自民党法案が公表された。原則、学校復帰を目指すとしながら、教育委員会が保護者の申請を認めた場合、フリースクールでも義務教育相当の教育を受ければ、義務教育を修了したと認定されるという内容だ。
近年、インターネットによる授業や講座が急拡大しており、自宅学習する環境も整ってきた。義務教育の場が広がり、教育の選択肢が増えると歓迎する声もある。ただ、「不登校を助長し、学校制度が形骸化する」と、懸念の声は強い。
先日、30年以上不登校児の教育支援に携わってこられた専門家と会う機会があった。「民間のフリースクールに通えば出席とみなされ卒業しても、社会人として自立していけるのか」と、学校に戻すことに消極的な姿勢に強い疑問を呈した。不登校が長引けば、引きこもりにつながりやすい。「まず早期に学校に戻す最大限の努力をすることが引きこもりを生まない道だ」と話していた。
学校という場は、集団生活を通して忍耐力や協調性、規範規律、人間関係能力など、社会生活で必要な生きる力を鍛えていく場でもある。全国の474カ所あるフリースクールの8割は20人以下の小規模施設という。さまざまな学校行事や課外活動がある学校とは教育の質が違う。
何よりも学校に行けないという本人の問題が根本的に解決されないとすれば、その後の人生がうまく自立していけるのか。義務教育相当と認定することで学校復帰の道は遠のくという懸念はぬぐいきれない。(光)