荒らされた沖縄県知事選挙掲示板


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 16日に投開票された沖縄県知事選は、保革4氏が立候補し、米軍普天間飛行場移設問題が最大の争点となったことから、これまでになかった激しい選挙戦が展開された。

 10月30日の告示前から各候補のノボリや横断幕、ポスターが県内のあちらこちらで見られた。那覇市では知事選に加え、市長選、県議補選、市議補選が重なったため、主要交差点では数十本のノボリが乱立。電柱はポスター合戦の様相を見せた。

 告示後は、相手陣営への攻撃が激しくなり、相手陣営を批判するポスターが目立った。フェイスブックなどソーシャルメディアでは、選挙ポスターへの落書きや破損に関するメールが相次いだ。

 現職知事の仲井真弘多(なかいまひろかず)氏の顔にはスプレーで赤い「×」マークが書かれ、下地幹郎氏と喜納昌吉(きなしょうきち)氏の顔は黒く塗りつぶされていた。今回当選した翁長雄志(おながたけし)氏のポスターだけは、何も手がつけられていなかった。沖縄市と名護市では仲井真氏のポスターだけが破られていた。県選挙管理委員会によると、少なくとも7市町30カ所で落書き・破損が確認されたという。

 「限られた範囲内での選挙運動を行う各候補者の選挙運動手段を不当に妨害する悪質で卑劣極まる行為であり、断じて許されるものではありません」と県選管は異例の声明を発表した。選挙ポスターの落書きや破損行為は、公選法違反や器物損壊の罪に問われる。

 仲井真氏の支持者は「翁長陣営がやったのではないか。あからさまな選挙妨害」と非難。これに対し、翁長氏陣営は「仲井真陣営の自作自演では」と推測した。知事選は終わったが、選挙運動をめぐる争いのしこりは尾を引きそうだ。(T)