毎年8月15日が近くなると、先の大戦について…


 毎年8月15日が近くなると、先の大戦についての情報が多くなる。テレビでも「戦争物」と呼ばれる番組が放送される。ところが新聞報道によれば、今年の視聴率は1桁台に終わった。

 ノンフィクションもドラマも含めて、戦争物への関心がなくなってしまったようなのだ。視聴率が全てでないのは当然だが、そこには相応の理由があるはずだ。

 約70年前に終わった戦争が、日本の歴史にとって重みのある事件であることは間違いない。が、戦後70年の時間が流れたことにもそれなりの重みはあるはずだ。

 「戦争の重み」と「平和ボケ」などとも言われながら続いてきた「70年の重み」。二つの「重み」のせめぎ合いの中、いつの間にか「70年の重み」が効いてきたように見える。戦争物への無関心も、その結果と考えるべきなのではないか。

 旧日本軍の兵士だった90代の老人は、番組の中で必ず「戦争は絶対にいけない」と語る。が、その「戦争」は、侵略戦争のことを指すのか、自衛のための戦争も含めるのか、番組は決して問いかけることなく、「戦争は絶対に反対」という言葉だけが繰り返される。問われるべきは旧日本兵の言葉よりも、テレビ局の十年一日の怠惰だ。

 一口に70年というが、敗戦時(昭和20年)の70年前は明治8年。70年とはそれほどの時間だ。「戦争の重み」への安易なもたれかかりは、ボチボチ再検討がなされてもよい。