中国 北京五輪後、ゼロコロナ崩壊 感染拡大で自治体トップ処分


香港、1日の死亡率が世界最悪に

 北京冬季五輪、パラリンピックが閉幕したばかりの中国で新型コロナウイルスの感染者が急増し、「ゼロコロナ」政策を続ける習近平政権は感染拡大を完全には抑え込めずに深刻化している。東北部の吉林省長春市や南部の広東省深●(=土へんに川)市、東莞市では事実上の都市封鎖(ロックダウン)に入り、責任を問われた行政幹部らの更迭も相次ぐ。香港は世界最悪の感染死亡率に陥り、中国式「ゼロコロナ」政策の限界が浮き彫りになっている。(深川耕治)

 中国当局の発表によると、12日に新たに確認された無症状を含む市中感染は前日の2倍超の3122人。14日の香港・マカオを除く中国本土の市中感染は計5154人。中国政府が無症状感染者数の公表を始めた2020年4月以降で過去最多を更新した。新規感染者の確認は31省・自治区・直轄市のうち19に及んでいる。

中国・深圳で、新型コロナウィルスの感染検査をうける人々=2021年6月

 とくに東北部の吉林省では、全体の約8割に相当する4067人の感染者が確認され、同省長春市は11日から都市封鎖に入った。長春市は各家庭で2日に1回、1人だけ生活必需品の買い出しを認めるが、防護服など感染予防の必需品が2~3日で底を突く窮状を訴えており、現場は逼迫(ひっぱく)している。上海市や山東省青島市でもじわじわと感染が広がっており、全住民に複数回のPCR検査を実施している。

 吉林農業科学技術学院(吉林市)では3月に入り、学生らの集団感染が発生し、大学当局が適切な隔離措置をせずに感染情報を隠蔽(いんぺい)した疑惑が浮上。同学院の党委書記が解任され、教師、生徒らはキャンパスを強制移動させられ、12日、コロナ対策の不手際を理由に市長が免職となった。

 中国紙「健康時報」の統計によると、2月以降、吉林省の吉林市長、長春市衛生保健委主任、広東省公安庁副庁長など6人を含む国内の行政幹部60人が失職更迭されている。まるで03年の新型肺炎(SARS)感染拡大で行政幹部の情報隠蔽による処分と同様の繰り返しだ。

 習近平総書記は異例の3期目続投を決める今秋の党大会まではゼロコロナ政策を継続するはずで、都市封鎖が拡大すれば経済打撃が深刻なだけでなく、政府への不満の矛先を地方政府の不手際責任でかわすにも限界がある。

 都市封鎖している深●(=土へんに川)と隣接する香港では、コロナ感染が爆発的に広がり、3月の政府統計では感染者数は1月以降の累計で人口の1割に当たる約75万人に達した。香港大学の調査によると、これまでの延べ感染者数は184万人で最終的には400万人を超える可能性があるという。英オックスフォード大の研究グループの調査によると、100万人当たりの1日の死者数(7日移動平均)は直近で37・6人。世界最悪となり、米ジョンズ・ホプキンズ大の調査でも同様(25・5人)であり、米国や英国の過去の最悪感染時を上回る事態となっている。

 香港中文大学医学部で公共衛生学が専門の郭健安助教授は「香港ではここ2~3週間で感染者数がピークとなり、6月末から7月にやや落ち着くが、最終的に450万~500万人がコロナに感染し、死者数は7000~9000人に達するだろう」と見通しを分析。香港では高齢者のワクチン接種率が低いため、後手後手になって重症者を病院に収容しきれない医療崩壊を招いており、郵便局員の感染被害も深刻だ。

 香港政府は3月に香港市民約740万人全員に強制検査を義務付けたが、スーパーマーケットでの買い急ぎによる品不足の混乱もあり、「強制」でなくなるなど、混乱が続く。

 到底、楽観できるものではなく、香港市民にとっては中国式「ゼロコロナ」政策で夕方からの外食制限、家庭内での集会制限で不満と不安が募っており、迷走する政府のコロナ対策への不信が強まっている。だが、5月8日に延期された行政長官選は支持率が低迷する林鄭月娥行政長官の続投がほぼ既定路線となっている。